生産技術者の業績向上に果たす役割

(1) 生産性はアウトプット÷インプット

 生産性は、アウトプットをインプットで割った比率であり「資源の有効利用の尺度」です。アウトプットには、製品、品質、納期、生産量、環境などがあります。どのレベルにアウトプットを規定するかによってコストは大きく違ってきます。そこで、アウトプットレベルを規定してからコストを攻め、負荷=能力の状態を作り出すことが重要です。

 そして、インプットであるコストは生産要素である人、資材、情報、設備、およびエネルギーの総合した最適システムの設計によって達成されるのです。

下図は、ライフサイクル・コストが決定する時期を概念的に表したものです。図のように、ライフサイクル・コストは製品の企画段階・構想設計段階でほぼ決定してしまい、コスト管理の重要性はまさにこの段階です。

(2) 生産技術部門が貢献するアウトプットは何か

 生産技術は何を仕事のInputとOutputとして、会社の業績に貢献するのでしょうか。Outputは何の指標を目標とすべきなのでしょうか。次のようなものがあります。
・工程設計・工程能力(精度・純度の高い製品を作る生産技術力)⇒製品別売上高・利益
・サプライチェーン(短納期・フレキシブル対応)⇒製品別売上高・利益
・設備投資・環境投資(コンプライアンスの確保)⇒売上高・利益

 この中で、工程設計、工程能力が会社の製品の中に組み込まれ、それが顧客価値を生めば、企業の業績・利益に大きく貢献することになります。限りなく精度・純度の高い製品を生み出すことができる企業は素材系の生産財を生産する会社に多いです。顧客価値の高い製品とはどのように見つけ出していけばよいのでしょうか。

(3) 外部分析・内部分析から戦略目標を明確化

■外部分析(市場構造分析・競合分析)
 企業の戦略目標は外部分析と内部分析の明確化から入ります。外部分析は市場構造の分析と競合の分析です。市場分析(政治経済動向、業界構造、顧客・市場ニーズ)は、外部環境要因の傾向を捕らえます。さらに、自社の標的市場と同じ市場で、顧客ニーズを満たし、顧客価値の創出を狙っている競合企業の企業力や戦略を分析します。
それから導き出されるのが重要成功要因の分析です。
■内部分析(自社企業力分析・経営理念確認)
「コア・コンピタンスの確立」は企業が永遠に行き続けるための根幹にあたる要素です。コアコンピタンスとは

  顧客に対して、他社に真似のできない自社ならではの価値を提供する
企業の中核的な力。企業力とは個別的なスキルや技術を指すのではなく、
むしろそれを束ねたものである。特定個人の才能、スキルというレベル
まで分解する。

ということです。

 コア技術は設計技術、生産技術、管理技術の3つからなります。下図では設計技術はスープ、肉、魚貝、野菜など製品の持つ機能です。生産技術は焼く、揚げる、煮るなどの製造工程で製品を作る技術です。管理技術は安い、速い、量が多いなどで短納期や低価格も売り物になることもあります。「コア技術が使われている製品タイプは何か」をマトリックスで考えると商品力が評価できます。

(4) SN分析からコア技術を見つける

 会社のコアを確立するには、現在、会社が持っているコア技術の確認から入るとよいでしょう。図の縦軸は市場・ニーズ(N)、横軸は技術・シーズ(S)のマトリックスを描いたSN分析表です。技術はレベルの高い順に、市場も売上高または利益の大きい順に、3,2,1ランクで評価します。市場を図のように最初から整理分類することが難しければ、製品別の売上高または利益の多い順に並べることから始めてもよいでしょう。
 そして、その製品が収益を上げている源泉である横軸の技術を確認します。つまり「売上高または利益の源泉は、いずれの技術から生まれているか」「顧客が求め価値があると認識している技術は何か」を確認します。技術には製品収益構造に組み込まれた製品技術、作り方の生産技術、品質・納期・コスト管理力などの管理技術があります。この作業を行うと、新たなコアの発見があったり、コアでないものをコアとして扱う誤りを発見することができるのです。